看護師が【吸引】ですり減らすメンタル<ユマニチュード的対処法>

看護師の手技の中でよく使うものに【吸引】がありますね。

これは必要な手技なのですが、なにせ患者さんの苦痛が大きいのです。

苦痛と言うか、とにかく苦しいのです。

私も痰が絡んだ時に自分で吸引したことがありますが、1秒でギブアップでした。(清潔動作で行い、使用後は通常通り消毒しました。患者さん体験の意味も含めて行ったものです。)

看護処置なのですが、苦しむ患者さんをみて、看護師の多くは「ごめんね」と言いながら行います

これにより何が起こるかというと、

看護師は自分自身に「患者さんに悪いことをしている」という罪悪感を植え付けてしまうのです。

ただでさえ日常的に「すいません」と謝る習慣のある看護師。

モチベーションの低下を招き、いずれは離職やうつにつながる恐れがあります。

そこで、看護師13年目の私が考える吸引の心得をご紹介したいと思います。

フランスのケア手法「ユマニチュード」の哲学を活用し、看護師の自尊心も低下させない心得を考えました。

患者さんを救いたい!患者さんの笑顔を見たい!

でも自分の手技で患者さんを苦しめている。。。と感じる看護師の方、ぜひ参考にしてください。

また、患者さんのいるご家族の方も、吸引は見ていて辛い状況ではありますが、少しでも理解が深まってくれるとありがたいと思います。

吸引は痰を吸い出すために行うこと

まず、そもそもなぜ吸引をしなくてはいけないのでしょうか?

それは痰とは何かを考えるとわかります。

痰は、私たちが呼吸によって喉に溜まった菌やほこりです。体の中のさまざまな活動により、呼吸とともにそれらが肺に入っていかないように食い止めてくれているのです。

風邪などひくとより痰が出ますね。あれは菌と体の防御反応が戦った結果です。ようするに菌の死骸といったところです。

通常は痰が絡んだら喉の細かい毛が口まで運んでくれるので、あとは出せばいいのです。

しかし、高齢などなんらかの原因でその活動が弱まった場合、痰を外まで送り込めないのです。

そうなると痰詰まりで窒息の危険性もあります。痰が気管に流れ込んで誤嚥性肺炎という病気になることもあります。

それを予防するために、看護師は吸引を行うのです。

吸引の手技

では実際に吸引はどうやるのでしょうか?

吸引に使う管は8Fr~12Frという規格の細さです。ザックリ言うと子供用の綿棒の細さくらいでしょうか。

今の職場では10Frがメインです。

これを吸引機という陰圧をかける機械に接続します。

圧はその場でコントロールできます。

その管を口~喉、もしくは鼻から入れて中の痰などを吸引するのです。

口の中はどうしてもモグモグしてしまったり、喉の奥にあたりやすかったりしますので、多くの場合は鼻からも吸引させていただきます。

鼻は喉まで続いているのですが、道が狭い人は痛みを覚えます。インフルエンザの検査で使う綿棒が鼻に入ったとき、ツーンとするあの感覚です。

管を入れるときには圧はかけません。

弱い粘膜に吸いついてしますと傷をつけてしまう恐れが高まりますので。

奥まで入れて気道に到達したら圧をかけて、痰を吸い上げます。

徐々に引いてきて、喉元、口の中の溜まった痰も吸い取ります。

その間、患者さんは呼吸ができませんのでとても苦しいです。看護師も、圧をかけるのは最長でも何秒までということは学んできます。

そんな苦痛を伴う手技ですが、痰詰まりでなくなる方もいる中で、必要な手技だということも理解しておかなくてはなりません。

超高齢社会において、飲み込みが弱くなって痰が多い方はどんどんと増えます。

今では看護師以外にも、リハビリや歯科衛生士も吸引の勉強をして吸引ができるようになっています。介護職の方も、病院に研修にきて、手技を学んでいっています。

 

しかし、やはり問題はその苦しさと痛みです。

暴れたり抵抗する患者さんはとても多いです。

必要性を理解している患者さんでも、グッと我慢はしてくれますが、すぐに手で払いのけてきます。

高齢の方や認知症を患っている方では、説明をしてもなかなか理解を得ることは難しいです。

 

しかし、痰が大量に絡んでいる場合などは、一刻の猶予もないのです。

 

患者さんに「やめてー!」「殺す気か!」なんて言われれば、看護師がまるで拷問をしているかのようにも感じます。

また、大部屋であれば患者さんの抵抗する声を聞いて、ほかの患者さんや家族の方に「かわいそう」なんて言われますよね。

その中で吸引を行う看護師の心もまた、同じことを思っているのです。

「こんな苦しいことをしてごめんなさい」

「すぐに終わりますから、すみませんね」

と。

罪悪感

多くの看護師は、「患者さんを救いたい」「笑顔になってほしい」と願って看護の道を志しています。

それが見た目、真逆のことを行っているのですから、看護師の心の中ではジレンマが生じているでしょう。

決していい気分でやるような手技ではありません。

しかし、頻度で言うと日常的に行わざるを得ないものですので、1日に何回も行います。多い患者さんでは1時間おきに行います。それでも間に合わないくらいの方もいます。

そういった良くない積み重ねがいつしか看護師の心をすり減らし、やりがいや達成感とは程遠い虚無感を生むのです。

それが仕事に対するモチベーションの低下を生んだり、満足度の低下を生みます。さらに離職にもつながってしまいます。

どうしたらよいのでしょうか?

対策

吸引はやる方もやられる方も辛いです。

でも必要なことなのです。

患者さんに対する声掛け

「ごめんね」なんて謝る必要はないのです。悪いことはしていません。

確固たるエビデンスに基づいて、学習と実習を終了し、国家資格を取得した私たちが行うのです。

誰にメリットがあるかというと、間違いなく患者さんなのです。

そこを明確に理解し、伝えていくことがよいでしょう。

例えば、

「痰が取れると詰まりがとれてすっきりしますよ」

など。

手を握る

抵抗する患者さんには手を抑えることが止む無しといった状況があります。

それでは本当に虐待や拷問です。

私は個人的に反対です。

手を抑えるのではなく、手を握るのです。

そして、患者さんに手を握ってもらうのです。「一緒に頑張りましょう」と言いながら。

「苦しかったら私の手をギューッと握ってください」

そして、吸引をしている最中から患者さんの頑張りを評価、フィードバックするのです。

「そうです、上手に出来てますよ!しっかりと痰が取れてますからね、すっきりしますよ」

と。

そうすれば患者さんの不安は少し軽減されるでしょう。

終わった後には涙を拭いて、鼻を拭いて、「しっかりとれましたよ。これで呼吸が楽になりますからね。ご協力ありがとうございました」と前向きな言葉をかけましょう。

間違っても「すいませんでした」「ごめんなさいね」などと謝ることは辞めましょう。

患者さんも、「謝るってことはやっぱり嫌なことをしたんだな」と理解してしまいます。

つらかったけど必要なことだった。頑張ったからいい結果につながった。

という、患者さん自身が成功体験を実感する形で終わらせることが大切です。

おわりに

いかがでしたか。

吸引と言う苦痛の強い手技でも、それ自体は必要であるということをわかりやすく伝えることが大切です。

また、苦痛を少しでも減らせるようにボディタッチや言葉かけの仕方を工夫する働きも重要です。

プラスの言葉を発することで、患者さんにも看護師自身にも前向きな印象が残ります。

そして、患者さんが頑張る姿は看護師のエネルギーになります。

頑張る患者さんのためにもっと何かできないか、より良い方法はないかと探します。

そのプラスの循環をつくるのは、まさに看護師の接し方しだいなのです。

 

ただ、やはり大前提としてメンタルを削ってまで働くことに価値があるかは疑問です。

急性期・回復期・療養型など、病院の特性によって吸引等の処置の多い少ないがあります。

本来ならば必要な手技・患者さんのための処置ではありますが、価値観は人それぞれですから。

下記の記事は転職体験談の記事ですが、参考程度にみていただくのもいいかもしれません。

環境を変えると全く違った看護に出会えますので、それも楽しいですよ。

今の看護との向き合い方も変わるかもしれませんね(^^)

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この記事が誰かのお役に立てれば幸いです。

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ABOUTこの記事をかいた人

看護師をしながら3人の子供を育てている父親です。まだ子供は小さいので四苦八苦してます。でも一番楽しい時間ですね。Blogの内容は、 【育児】【看護師】【筋トレ】【副業・初心者ブロガー】 として発信していきます。 よろしくお願いします。